ASSAM ASEAN ACADEMY:インド・アッサム州で、国境を越えた学校づくり

 ASSAM ASEAN ACADEMY(アッサム・アセアン・アカデミー)は、今年10月、インドのアッサム州に開校予定の日本語学校です。日本政府とアッサム州政府のバックアップを受け、外国人人材派遣会社のアセアン・ワン株式会社が主導で開校準備を進めています。今回は創立メンバーとして、日本人教師3~4名を募集。現地のサポートを受けながら、一から学校づくりに関わることができる貴重なチャンスです。同社執行役員の長友さん、営業本部のガウラブさん、椎谷さんに詳しいお話をうかがいました。

取材した方のプロフィール

  アセアン・ワン株式会社

   執行役員 長友 哲郎さん
   営業本部 マラテ・ガウラブさん
   営業本部 椎谷 菜々香さん

目次

インド・アッサム州での開校

――インド・アッサム州で開校することになった経緯教えてください。

 私たちは外国人材サービスを提供している会社です。今までアジアを中心にいろいろな国の労働者の方と日本の企業をつないできましたが、新たなマーケットとしてインドに着目しました。昨年末に弊社会長の西川と私で印アッサム州に赴き、現地を視察し、州政府閣僚と直接お話しする中で、日本語学校新設の案が浮上しました。
 今年2月にはインド大使館からの招待でアッサム州の投資促進サミット「アドバンテージ・アッサム」にも参加しました。現地ではシャルマ州首相から直々に「日本語学校作りに尽力してほしい」と激励をいただき、MOU(合意書)の締結に至りました。
 学校の一番の特徴は、日本政府とインド・アッサム州政府、そして私たち民間企業という三味一体で動いている、一大プロジェクトであるということです。先日、入学試験のために訪印した際には、アッサム政府首相の秘書官の方から成功のお墨付きをいただきました。「我々アッサム州と日本政府と、あなた方の三者で進めているのだから、必ず成功するでしょう」という太鼓判もいただきました。今年5月には、日印人材交流を推進する額賀福志郎衆議院議長に、学校を見学していただきました。現地でも非常に熱烈な歓迎を受けていたのが印象的でした。
 アッサム州からも手厚いサポートがありまして、正式な校舎が完成するまでの間、州政府が持っているビルを仮校舎として貸していただく予定です。それから、先生方の住まいにも、インド工科大学グワハティ校にあるゲストハウスを、無償で提供してもらう予定になっています。

アドバンテージ・アッサムで合意書を締結

――入学希望者は、どのような方が多いですか。

 今、日本企業に必要な人材を集めていますので、IT系、介護職、ドライバー、建設事業者の四業種で募集をかけました。中でも、ITの希望者が圧倒的に多かったですね。
 先日の入学試験には、50名弱の志願者が集まりました。これは現地の予想を大きく上回る数字だったそうです。我々としては今後、1000~2000人の生徒数を想定しているので、まだまだスタートしたばかりではありますが、インドにある従来の日本語学校とは既にちょっと違う規模になりそうですね。もちろん、誰でも手あたり次第に入学させるわけではありません。入学試験では、日本語や日本文化を理解する意欲があるかどうかをじっくり見ます。

オープンに向けて、新校舎の工事が進んでいる

学校の特徴

――教育方針について教えてください。

 カリキュラムは、提携先であるアークアカデミーが作成します。日本語はもちろん、日本の文化やマナーも学んでもらえるように、10ヶ月を1タームとして運営していきます。基本的には国際交流基金日本語基礎テスト「JFT-Basic」を採用しつつ、卒業時には日本語能力試験「JLPT」 のN3に合格することを目指します。

――当面のクラス規模は、どのくらいの人数を予定していますか。

 最初は1クラスから始めますが、順次、試験を実施しながら20名のクラスを3クラス設ける予定です。学校に多くの生徒を入れることよりも、日本で確実に就労できる人材を育てることを目標にしていますので、学ぶ意欲のある生徒を迎えるつもりです。

――教職員の方は、全部で何名募集していますか。

 最初は3~4名ぐらい、クラスの分だけの募集です。1クラスにつき、日本人教師とインド人教師を1人ずつつける予定で、現在、現地のインド人教師の人選も進めているところです。

――言語は何が必要ですか。

 生徒たちは英語とヒンディー語、現地のアッサム語が話せます。ですので、日常会話程度の簡単な英語ができれば大丈夫です。日本語堪能なインド人教師もつきますから、問題があればその先生たちが手伝ってくれます。

――日本語教師未経験の方は応募できますか。

 基本的には一年以上の経験がある方を条件にしています。経験はオンラインの授業でも、対面の授業でもどちらでもかまいません。

インドでの生活について

――インドでの生活経験がない方でも応募できるんでしょうか。

 必須というわけではありませんが、インドに限らず少しでも海外生活の経験がある方のほうが順応しやすいかもしれません。やはりインドと日本の生活には大きなギャップがあると思いますので。ただ、最終的には、どれだけ順応しようとする気持ちがあるかが大事だと思います。

――生活においては、どういうところで一番ギャップがありそうですか。

 やっぱり、食べ物のギャップはありますね。アッサム州にスーパーはたくさんありますが、日本の食材を買えるようなお店はあまり多くないかもしれません。
 気候は、雨季の今だったらほとんど日本と変わりません。暑くて雨が多く、スコールがあります。冬になるとあまり雨が降らず、気温は20度前後でかなり過ごしやすいと思います。

――現地での教職員向けサポート体制や、研修制度はありますか。

 サポートとしては、アークアカデミーの担当者がオンライン、もしくは現地に赴いて、定期的にカリキュラムの進捗確認を行う予定です。このほか、定期的なミーティングも行います。教務全般に関してはアークアカデミーに相談できますが、それ以外の生活面については現地のインド人の校長先生や日本語を話せるインド人スタッフがサポートします。

校舎やゲストハウスがあるアッサム州グワハティの街並み

教職員の採用に際して

――教職員の採用で重視する点について教えてください。

 まずは「インドで日本語を教えたい」という強い気持ちがあるかどうかです。先ほどもお話ししたように日本の生活とは大きなギャップがありますし、私たちとしても先生方にはインドで健康で安全に過ごしていただきたいので、少しでもモチベーションの高い方を採用したいと考えています。
 あとは、選考の中で模擬授業を行いますが、その際に見るのは、楽しく授業をされているかどうかですね。たとえば、相手に対して「あなたはどう思う?」みたいなさりげない声かけができているか。双方向の会話ベースの授業だといいですね。生徒さんたちにも楽しく日本語を勉強してもらいたいので、楽しい授業ができる方が応募してくださるとうれしいです。
 実は、今回のアッサム州の学校以外でも、隣のメガラヤ州や、インド工科大学からも「講師を派遣してほしい」と要望が来ています。そのため、先生方のご希望や特性によってはそちらをおすすめすることもあるかもしれません。

――最後に、応募を検討している方に一言お願いします。

 新設校ということで、自分の手で一から学校を作り上げることができるというのが一番の魅力だと思っております。大変なこともあると思いますが、創成期メンバーとしてどんどんアイデアを出していただきたいと思います。
 我々の事業は、アッサム州政府や日本政府がサポートしてくれる、いわゆる“国策”だと考えています。成功すれば大きな成果となり、先生方の今後のキャリアにも生き、大きな自信にもつながるはずです。ここまで政府の手厚いバックアップがある事業は他になかなかないと思いますので、創成期のメンバーとして一緒に高めあう気持ちを持ってもらえる方に、ぜひ参加していただきたいと思います。

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