新宿平和日本語学校:教員の8割が未経験スタート。手厚いサポートとキャリアパスが魅力

 多様な文化が交差する街、新宿区大久保地区にある新宿平和日本語学校。2010年の開校以来「言葉を教えることを通じて、人と世界をつなぐ」をモットーに、小規模ながら世界各国の学生たちを迎え、夢を支えてきました。
 在籍する教員の多くが未経験からのスタートだという同校。勉強会や外部研修も充実しており、ステップアップへのサポート体制も万全です。JR大久保駅から徒歩1分、新宿駅からも徒歩圏内というアクセスの良さも魅力。また、授業は午前と午後の二部制のため、個々のライフスタイルに合わせた働き方が可能で、子育て中の方も安心してキャリアを継続できます。

取材した方のプロフィール

新宿平和日本語学校 教務主任
正能 志保先生

開校当初の2010年から在籍する正能先生。
今回は同校の雰囲気や、この仕事の魅力などについて詳しくお話してくださいました。

目次

丁寧な事前研修と模擬授業があるから、安心して初回の授業に入れる

――最初に、貴校の特色を教えてください。

 もっとも特徴的なのは、どのレベルのクラスでも科目別担当を設けている点だと思います。たとえば読解、聴解、文法、表現と科目ごとに専門の教員が担当します。授業ごとに明確な目的があるので、学生はより実践的な日本語を身に着けることができ、教員も自身の得意な分野にフォーカスして授業に取り組めるメリットがあります。

――どんな学生さんが多いですか?

南米やヨーロッパも含めいろいろな地域の出身者がいますが、アジア圏が一番多いですね。現在約100名の学生が在籍しています。よく「教員は外国語のスキルが必要ですか」という質問をいただきますが、必須というわけではありません。もちろん英語や中国語、ドイツ語などが堪能な教員もいますが、できなくても大丈夫です。

――教員採用で重視するのはどのような点ですか?

 経験は問いません。それよりも、模擬授業の際に学習者と真摯に向き合うことができるかを重視します。一方的な授業になっていないか、学生さんの反応を見ながらコミュニケーションが取れているかというところを見ますね。教員間のチームワークも大切なので、協調性があるかということと、あとは成長意識があるかどうかも大切なポイントです。

――教員の方の一日のスケジュールの流れについて教えてください。

 正規職員の場合ですが、8時45分に出勤して授業の準備。授業は、曜日や時期にもよりますが、2時間の授業のみ担当する日もあれば、2時間の授業を2回行う日もあります。授業が終わったら授業報告をして、お昼を挟んで午後の授業、授業がない時は教材の作成や新任教員のサポート、進路指導など学生支援、学校行事の企画なんかも行っています。終業は17時45分です。
 授業そのものよりも、授業のための準備や学生支援に割く時間の方が長いですね。当校は既成の教材も使いますが、オリジナルの教材や試験の作成にもかなり力を入れています。ミーティングも定期的に開催して、シラバスや評価基準について教員全員で意見交換や情報共有を行っています。

――子育て中でも働けますか?

 ちょうど今、育休中の職員がいます。育児に限らず「午前中は働けない」「子供が学校から帰宅するまでに帰りたい」「フルタイムは難しい」といった個々の状況に応じて午前と午後の授業のいずれか2時間だけ、というような非常勤の働き方も選択できます。

――未経験者にはどのようなサポートがありますか?

 誰でも初めての授業が一番緊張するものなので、事前研修として実際の授業の見学を何度か行い、進め方や雰囲気を掴んでもらいます。それを踏まえた上で模擬授業を数回行います。毎回フィードバックして、希望があれば教案添削も行います。とにかく安心して初回の授業に入っていただくために、教職員みんなでサポートしています。
 あとは3か月おきに勉強会を開催していて、ほぼ全員が参加します。ベテランと新任者が同じテーブルで授業の進め方や評価の仕方について意見を出し合うワークショップ形式なので、多くの学びや気づきがあると思います。
 外部研修も積極的に取り入れて、教職員の参加を促しています。参加を重ねることで研修担当者になり、カリキュラム担当、副主任、主任とキャリアアップを重ねた職員もいます。意欲次第ですが、成長機会はかなり多いですね。常に新しいことを学び続ける向上心を持つ職員はみんなキャリアアップしています。

――かなりサポートが手厚く、初めてでも安心ですね。

 これまで多くの未経験者を採用してきました。今いる20名弱の教員も7~8割は未経験者でした。そこからキャリアアップした教員もたくさんいて、今では立派に新任者への指導も担当しています。教員同士が協力し合い、助け合う組織風土があるので、困ったことや分からないことがあればすぐに相談できる環境は整っていると思います。ミーティングや勉強会では立場や年齢に関係なく誰でも率直に意見を言える雰囲気があるのも、小規模校ならではの良さですね。

語学を教えるだけではなく、学生を理解し支援するのが仕事

――SNSでの情報発信にも注力していますね。先生方も学生さんたちも活気があって、とても元気で明るい印象を受けました。

 ありがとうございます。教員の年齢層は20代~60代と幅広いのですが、みんな向上心があって明るいですね。当校は授業だけではなく季節ごとの行事やイベントも定期的に行っているので、学生同士も仲がいいですし教員と学生の距離も近いと思います。先日は近隣のスポーツ施設を借りて運動会を開催したところです。他にもスピーチ大会やクリスマスパーティーを開いたり、遊園地に出かけたりバーベキューをしたり、年ごとに違ったイベントを企画しています。教員も学生も楽しい経験がたくさんできるように工夫しています。

――語学以外に、日本の文化やマナーなどの教育にも力を入れていますか?

 そうですね。日本はルールやマナーを重んじる面がありますので。来日してすぐの頃は特にトイレの使い方やゴミの捨て方などの生活ルールが分からずに間違えてしまう学生も多いです。まずは学校で教室をきれいにするとか、使ったものを元の場所に戻すといった基本的なルールをその都度指導しています。語学の先生というだけではなく、生活も一緒に見ていく、理解し、支援するという意識を大切にしています。

――日本語教師の仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

 学び続けることの楽しさを学生に教えるだけではなく、自分も感じ続けられるところでしょうか。世の中の流れも学生たちを取り巻く環境も本当に目まぐるしく変わっていくので、教える立場の私たちも学ぶことが多いです。新しく学ぶことの大切さを常に感じています。

――では、大変なのはどんなところですか?

 生活環境もバックグラウンドもまったく違う学生たちが集まっているので問題が起こることもありますし、そこに向き合う大変さはありますね。それでも、学習面や生活面で学生たちが困難を乗り越える姿を見守ったり、時には一緒に乗り越えたり、そんな時の喜びというのは他の仕事ではなかなか経験できることではないと思います。
 教員との信頼関係ができると、彼氏と別れたとか彼女ができたみたいな“恋バナ”を打ち明けてくれる学生もいますね。中には、日本になじめなくてホームシックになってしまったとか、アルバイト先で心無いことを言われてしまったというような悲しいお悩みもあるのですが、そんな時に寄り添い、どう乗り越えていくかを一緒に考えていくのも私たちの役割だと思っています。

――最後に、貴校への応募を検討している方に一言、お願いします。

 繰り返しになりますが、ただ日本語を教えるだけではなく、支える、理解するという部分がとても重要な仕事です。誰かを支えたいという気持ちがあれば、自分自身も成長し活躍できます。学生の成長を支えたいと思えるなら、ぜひ私たちと一緒に教育の場で力を発揮していただけると嬉しいです。

――ありがとうございました。

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