さきたま国際学院は、豊かな自然と歴史が根づく町、埼玉県行田市で地域密着を掲げる日本語学校です。学生数は80名と小規模ながらも、日本語や日本文化を学ぶ意欲のある学生を厳選しているため、教員にとっても、学生の成長の手ごたえを感じられるやりがいのある環境です。
日本語教師未経験者への手厚いサポートや、育児中、介護中の職員へのフレックスタイム制の導入など、働きやすさにも力を入れている同校。「学生も先生も、来るのが楽しくなる学校を目指しています」と語る同校の渡辺大介校長先生に、詳しいお話を伺いました。
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さきたま国際学院
渡辺大介校長先生
日本語教師になる前は、舞台俳優として劇団を主宰していたというユニークなキャリアをお持ちの渡辺校長先生。
芝居の脚本も手がける中で、言葉や会話のつながりの面白さ、奥深さに惹かれ、日本語教育に興味を持つきっかけになったそうです。
応募する前に、実際の学校の様子をじっくり見てほしい

――さきたま国際学院は、どんな学校ですか?
自己を律し、自己をモニタリングできる学習者を育成するということが当校の教育方針です。学生数は約80名(現在定員150名)。今はミャンマーからの学生が多く、カンボジアやネパールなどの出身者も在籍しています。介護・医療系での就労を目指す学生と、専門学校や大学、大学院に進学を目指す学生たちが半分ずつといったところでしょうか。
――どんな方に教職員として来てほしいですか。
一番は、日本語を教えるのが好きな人ですね。学習者たちにとって必要なことが何なのか、ご自身でも考えていただける方がいいですね。もちろん私たちもフォローしますが、自ら学習者たちに寄り添い、向き合う姿勢のある方がいいと思います。
また、応募される前の段階であっても、対応が難しい場合を除いて、学校見学をしていただいています。当校はホームページやSNSでの情報発信にも力を入れていますが、現地を見ないと分からないこともあると思うので。教育内容や教職員の雰囲気、学習者たちの態度、勉強への向かい方など、ご自身の目で一度しっかり見ていただいて、本当に応募するかどうか、じっくり考えていただきたいんです。その後、もし応募してくださったら、書類選考、そして模擬授業と面接を行います。
――学校側だけではなく、応募する人も選ぶ立場だというお考えなのですね。
その通りです。私も初めて日本語学校に応募する際、求人サイトを見たり学校のウェブサイトを見たりして情報収集に努めましたが、どの学校も似たり寄ったりで、自分が働く時のイメージがしづらかったんですね。やっぱり自分の職場になる可能性のある場所は、実物を見るのが一番だと思います。
働き始めて「思っていたのと違う」「こんなはずじゃなかった」ということになると、それはお互いにとって不幸ですから。当校は常にオープンにしていますし、ご質問をいただいた際には、包み隠さず正直にお答えしています。
――模擬授業ではどんなところを見ますか。
模擬授業ではみなさん、きっと緊張されるでしょう。なかなか普段と同じようにはできないだろうというのは私たちも分かっています。私たちが知りたいのは、先生がどのように学習者のことを考えているか、どんなふうに授業を計画して、どんなスタイルで授業に取り組んでいるのかというところなので、緊張しながらも、そこをしっかり示していただければと思います。

ライフスタイルが変わっても常勤講師のまま働き続けられるように全力でサポート
――日本語教師未経験者へのサポートや研修はありますか。
当校には未経験からスタートした講師もたくさんいます。常勤の先生方には最初に2週間程度の研修計画を組み、先輩講師の授業の見学などに入っていただきます。授業で使う資料や教材はこちらで用意して、授業数も週1~2回ぐらいから始めて、まずは慣れていただくようにしています。授業も初めのうちは専任講師がついて、何かあればいつでもフォローできるようにしています。
非常勤講師の先生に関しては、多少の授業経験のある方を採用しているので、基本的に研修を受けていただくことはありません。もちろん何もフォローがないということではなく、ご希望であれば事前に授業を見学していただくこともできますし、授業の進め方など分からないことがあれば、先輩講師がいつでも相談に応じます。
――非常勤の先生は、即戦力なんですね。
そうですね。今、当校の常勤講師が産休中のスタッフ含めて9人、非常勤講師が5人。珍しいかもしれませんが、専任講師のほうが多いんです。
――出産や介護、家庭の事情などで常勤から非常勤講師に働き方を変えるケースはありますか?
もちろん本人の希望次第ですが、常勤講師として働いている方が、ライフスタイルが変わったとしても常勤講師のままキャリアを保ち続けられる環境を整えることが学校の役割だと私は考えています。非常勤や時短勤務に変えると、給与も常勤の時より下がってしまいますから。常勤のままでも産休や育休は取れますし、介護中・育児中の職員が働きながら保育園の送り迎えや家庭の用事をスムーズにこなせるよう、フレックスタイム制も近々導入する予定です。
――職員室の雰囲気はいかがですか。
いつも活発で朗らかで楽しい雰囲気なので、新任の先生も溶け込みやすいと思います。先生方にはできるだけ教務に専念していただきたいので、事務と教務の職務上の住み分けも気を付けています。事務専属の職員は産休中の事務職員も含めて6名です。
最近はAI活用セミナーを受けたりペンタブレットなどデジタル機器も積極的に導入しています。常に新しいことに挑戦していく学校でありたいので、いろんなアイデアを出してくださる方、新しいことに取り組むのが好きな方はきっと当校と相性がいいと思います。
毎日違うことが起こるから、この仕事は楽しい
――校外イベントも多く、先生も学生さんも楽しそうですね。
地域密着を謳っている学校なので、行田市のあちこちに出かけています。関東7名城の一つ、忍城の郷土博物館でフィールドワークをしたり、浮き城まつりという地域のお祭りに参加したり。日光江戸村へのバス旅行や、あとはみんなで一緒に料理を作るようなイベントもよくありますね。

――このお仕事のやりがいと大変なところを教えてください。
やりがいを感じるのは、毎日違うことが起きるところですかね。たとえしっかりスケジュールを立てて計画していたとしても、予想外のことがかなりの確率で起こるというか。でも私はそういうところが好きなんです。退屈することがありません。あとは毎期、卒業を迎えた学生たちとの最後の日のやりとりも特別な瞬間ですね。これを一度でも経験すると「この仕事はやめられない」と思います。
大変なところも同じで、毎日違うことが起きるところです。一度教えたことのある内容でも学習者は毎年変わるので、同じようにはいかないですからね。移りゆく学習者たちにいかに寄り添うかを考え続けるのは大変なことかもしれません。そして本当に大小様々なハプニングが毎日起こります。私にとってはそれも楽しいですけどね。
うちの学生たちはすごくいいですよ。学生たちに求める日本語能力のハードルは少し高めになってますが、当校は学習意欲の高い学生を責任を持って受け入れているので、様々な意味で教えやすい環境だと思います。
――意欲の高い学生さんをどうやって集めているのですか。
当校は、希望すれば誰でも入学できるわけではありません。学習意欲が低かったり、日本の文化になじむ気持ちがないような方まで受け入れてしまうと、当校が大切にしている地域とのコネクションが崩れてしまいます。なので、入学前にしっかりと選考を行ってから入学していただいてます。もちろん「この人は学習意欲が低いからダメだ」「日本のマナーに合わないからダメだ」と一度で切り捨てるわけではありません。日本で生活していくための助言をして、それをどう受け止めるか、どう変わっていけるかを見ながら入学の可否を判断します。初回の面接で入学選考を通過した後も、入国するまでの間に追加で1~2回、私がオンラインで経過面談を行い、自習も含めた現地での学習の経過や学習意欲を確認しています。

――最後に、応募を検討している先生方に一言、お願いします。
学生のみならず、先生も職場に来るのが楽しくなるような学校づくりを目指しています。今、日本語教師を目指している方、これから日本語教師として働くことを考えている方の中には、SNSやインターネット上でネガティブな情報を目にして不安になったことがある方もいるかもしれません。でも、私は日本語教師になって十数年経ちますが、この仕事を選んでよかったと心から思いますし、これからもずっと続けたいと思っています。日本語教師は最高に楽しく、素晴らしい仕事だと胸を張って言えます。
みなさんにもぜひ日本語教師になっていただいて、一緒に日本語を教える仲間になっていただきたいと考えています。まずは学校見学を、いつでもお待ちしています。