福島県の阿武隈高地に位置し、「夏井千本桜」や「リカちゃんキャッスル」で知られる小野町では、外国籍の地域おこし協力隊2名が活躍しています。ベトナム出身のブティ タン バン(通称バンビ)さんと、ミャンマー出身のシュエ イー ウィン(通称ルカ)さんです。外国から来たお二人が、どうして小野町で地域おこし協力隊に着任することになったのか、またそのルーツを活かしてどのように活動されているのか、お話を伺いました。
(記事公開日:2026年2月10日)

日本語学校で出会い、小野町へ
お二人が日本にやってきたのは、2023年のこと。元々日本語や日本の文化に興味があったというバンビさん、日本在住の友人に誘われたというルカさんは、北海道東川町にある日本語学校に入学しました。1年間の在学期間中、イベントやアルバイトを通じて仲良くなったといいます。
一方小野町では、多文化共生のまちづくりに向け、町内に住む外国人への支援などを進めていました。東川町と交流があったこともあり、地域おこし協力隊の募集を行ったところ、バンビさんとルカさんの目に留まったそうです。そして2024年4月、国際交流分野担当の協力隊として着任することとなりました。

協力隊の活動内容
普段の主な活動としては、町主催で行われる地域日本語教室や英会話教室の運営補助をはじめ、地域に住む外国人と日本人との橋渡しを行っています。図書館で東南アジアの文化について展示をしたり、学校に出向いて文化交流会を開催したりすることもあります。
「子どもたちをはじめ、町民の方々がベトナムやミャンマーについて興味を持っていて、よく質問をしてくれます。自分の国を紹介できるチャンスがあることは、本当に嬉しいです」とバンビさん。

「元々はIT系の仕事に興味があったのですが、今は人と関わるこの仕事がすごく楽しいです」とルカさんもいいます。2025年には、3~4回にわたってベトナムやミャンマーの文化や料理を紹介するイベントを開きました。バンビさんはベトナムの伝統的な衣装や簡単な挨拶言葉を紹介し、フォーや春巻きを作ったそうです。「子どもたちはすぐに挨拶を覚えてくれて、料理もとても喜んでくれました」と達成感をにじませました。
実際に外国から来たお二人や、小野町に住む他の外国人と交流する場は、町民にとってまさに多文化共生社会を理解する良い機会となっていることでしょう。もちろん外国人にとっても日本語や日本文化を知ることができる場となります。小野町内にはベトナム人やミャンマー人だけでなく、インドネシアやタイ、南米やヨーロッパなどたくさんの国から来た人たちが住んでいます。技能実習生として来日している外国人が多いそうですが、中には長く日本に住み続けたい、日本語を修得して活かしたいと考えている人たちもいるといいます。バンビさんとルカさんは、そうした人たちへの支援をより充実させるための重要なサポート役を担っているのです。

小野町での暮らしを楽しむ
とはいえ、全く異なる文化や風土で育ったお二人。小野町での生活に大変さを感じることもあります。
「親子丼や出汁が苦手で…」と話すのはバンビさん。食事が口に合わないことも多いといいます。また、日本には都会的なイメージを抱いていたため、東川町や小野町など、地方に来てショックを受けたそう(バンビさんはベトナムの首都・ハノイのご出身)。しかし暮らすうちに、人の暖かさに気付きました。
「職場まで歩いて通っているんですが、ある日全く知らない町民の方に道で挨拶をしたら、時間があったらちょっと寄ってお茶でも飲んでいったら、とお家に招いてくれたことがあって。」
以来、道端でよく町民に話しかけるというバンビさん。愉快なお人柄が町の人にも愛されているようです。
一方、ルカさんは日本食が口に合い、住む場所としても小野町が気に入っているそうです。「都会は人が多くて嫌なんです。小野は落ち着きます。」と話してくれました。ただ、暑い地域からやってきたルカさんにとって、北海道や東北の寒さはこたえたようで、「雪や風の強さが大変でした。」といいます。しかし、今では重ね着などを万全にして、なんとかこらえているとのこと。休みの日には日本人の友達と隣町やいわき市などに遊びに行くなど、日本での生活を楽しんでいる様子です。

今後も日本で働けたら
2027年3月に3年の任期終了を迎えるバンビさんとルカさん。将来のことはどのように考えているのでしょうか。
「何か自分の好きなことで自営業をしたり、通訳をやったりしたいです」と話すのはバンビさん。そのために、休みの日には日本語の勉強や通訳の仕事をしているといいます。別の国に留学することも考えており、英語の勉強も意欲的に行っています。
ルカさんは今後も日本で仕事をしたいと考えていて、働く先を探しているところだそう。「ホテルとか国際交流関係とか、日本語学校とか。仕事があればどこでも働きたいです」といいます。漢字の読み書きが苦手なルカさんは、「ただし、外国人向けの日本語教師はできそうにないけど」と苦笑いしていました。
それぞれのルーツや能力を活かしながら、地域について学んで働ける地域おこし協力隊。これから日本で働きたいと考える外国人にとって、選択肢のひとつになっていくのかもしれません。そう小野町のお二人が示していました。
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