「世界で活躍できる人材の育成」を目指し、日本語を学ぶだけでなく、コミュニケーション能力や考える力を育むことを目指しているカナン国際教育学院。本年度からカリキュラムを全面的に刷新し、より日常生活でのコミュニケーションに重きを置く教育方針になりました。日本語教員未経験者も積極的に採用し、新人研修はマンツーマンで数か月間という手厚さ。子育て中の方やシニアの方、兼業でご活躍中の方など、ライフスタイルに合わせた勤務が可能です。今回は、ご自身も未経験の非常勤講師からキャリアをスタートしたという同校副校長の相川愛美先生にお話を伺いました。

カナン国際教育学院 副校長
相川 愛美先生
2009年から非常勤講師として在籍。インド留学を経て、帰国後に復帰。2017年に常勤講師となり、現在は同校の副校長を務めます。
学校の雰囲気と特色

――カナン国際教育学園の創立は2003年ですね。現在、何名ぐらいの学生が在籍していますか。
全体で400人近い学生が在籍しています。教職員はおよそ60人です。本校はJR総武線亀戸駅から徒歩5分と、下町情緒が感じられる場所にあります。新宿や六本木のような都心も人気ですが、下町に愛着を持ってくれる学生も増えていますね。
開校当初は中国出身の学生がメインでしたが、時代を経て、現在では15の国と地域の学生が在籍しています。そういう意味では多国籍でにぎやかな雰囲気になっていると思います。アジア圏がメインですが、ロシアやカザフスタン出身の学生も在籍しています。
――他の日本語学校と違う点を教えていただけますか。
強みとしては3つあります。1つ目が教育への本気度。今までは文法積み上げ式のカリキュラムを行っていましたが、生活場面でできることを増やすという目標を掲げて、カリキュラムを3年かけて改定したばかりなんです。最終的には多文化共生社会に通用する人材を育成することを軸とし、それに沿ったカリキュラムになっています。時代に合った最新の日本語教育を 提供しているところが一つの特色です。
2つ目は、学生生活の細やかなサポートです。何でもかんでもサポートをするというわけではなくて、あくまでも自立した生活ができるように、伴走することを重視しています。
3つ目は、外部機関からの監査として、ISOを取得しています。毎年、組織内業務などの見直しを積極的に行っており、健全な運営体制を維持しています。
教員の採用に関して
――採用面接では、どんなところを見ますか。
学生のことを第一に考えられるかどうかを重視します。具体的には、学生に対して責任感があるか、向上心があるかどうか、そういった人柄の部分を見ています。採用時に模擬授業を実施するのですが、上手下手よりも、その人の教え方のスタイルや、未経験者の方の場合は伸びしろを見て、本校に合うかどうかを判断します。模擬授業の後の面接で、どういう意図を持って授業を組み立てたのか、その時の言動にはどんな意味があったのかなど、考えをお聞きします。
教え方にはいろんなスタイルがあっていいと思うんですけれども、本校は会話を重視したカリキュラムなので、一方通行ではなく、学生の反応をきちんと見ながらコミュニケーションが取れるスタイルが好ましいですね。
特に未経験の先生だったら教壇での立ち振る舞いも最初は分からなくて当然ですよね。資格を持っている先生であっても、実際の現場に立つのは初めての方がほとんどだと思います。ですから模擬授業の段階で完璧ではなくても、教師としての振る舞いがイメージできるかどうかが大事ですね。「この先生は研修を通してこれぐらいまでいけるだろうな」とか「この先生は学生に受けがよさそうだな」とか、少し先のことを予想しながら見ています。
――未経験の方でも、採用されていますか。
ここが実は一番の魅力で、うちは未経験から始めた先生がとても多いです。今在籍してくださっている非常勤の先生方の、半数以上は未経験からです。未経験で始めて、もう6~7年働いてくださる方もいます。
当校は研修制度や支援体制が充実しています。本校での授業の進め方に関する研修は全員に行いますが、未経験の先生にはだいたい3ヶ月ぐらいマンツーマンで教案の指導や個別の指導を行います。授業に入る前に教案をチェックし、 実際の授業を見学してフィードバックを行うのがメインの指導です。当校では3ヶ月に一回、学生からの評価アンケートを取ります。「この先生の授業のスタイルや進め方はどうですか?」など、いろんな項目で先生の評価をもらいます。それらを踏まえて、メンター(指導する側)がもう大丈夫だと判断するところまではずっと伴走しますので、かなり細やかな指導になっていると思います。ただ、絶対に3ヶ月研修するというわけではなく、習得が早い先生であれば数回で研修を終えることもあります。
学校生活について
――常勤講師の方のお仕事内容や、一日のスケジュールを教えていただけますか。
常勤の先生は、朝8時半に出社して、定時は17時半です。新人だから定時に帰りにくいというような雰囲気はまったくありません。
当校の教務には、進学係、総務係、そしてカリキュラム係の3つあるんですけれども、常勤の先生方はいずれかの係に所属しています。常勤の先生方が毎日授業に入る学校さんなどもあるかと思うのですが、当校の常勤の先生はだいたい授業が2-3日ぐらいで、それ以外は各係の仕事をしています。例えば、朝9時~12時半までの授業の場合、お昼休憩をとった後は係の仕事や教材研究を行います。
進学係であれば、進学に関する情報の整理・分析など先生や学生たちが進学において有益な情報を提供したり、進学説明会の実施・進学HR等、進学に向けた機会を設けます。総務係は、テキスト発注・管理、テスト関連の運営・教室環境設備の対応などをします。そしてカリキュラム係は予定表の作成や教員向けの研修運営等が主な業務です。とはいえ、夏以降は進学シーズンとなり、自分のクラスの学生の進学指導のため、学生を一人ひとり呼び出して出願の準備をしたり、志望理由書の添削、面接練習などで大半の時間を費やします。
――授業以外にイベントなどありますか。
当校の特色の一つでもあるんですけれども、多彩なイベントがあって、原則として3ヶ月に1回は大きいイベントをしています。全校でバーベキューとか、スポーツ大会、遠足、卒業パーティー、他に自由参加のイベントもたくさんあります。今年は同じ江東区のボランティアの方と協力して、キャラ弁を作ってみようとか、昨年度だったらクルーズに行ってみようとか、高尾山に登ってみようとか、1シーズンに2~3回はイベントを予定しています。
地域との交流に関しても、うれしいご縁があって、地域の方から「留学生と一緒に何かしたい」と言ってくださるので、ご協力を得ながらいろんなことに挑戦しています。
仕事のやりがい
――お仕事のやりがいを教えていただけますか。
留学生の人生の分岐点に携われるところでしょうか。一大決心をして日本に来ている学生の目的を達成できるかどうかに関わるわけですから、責任も大きいですが、やりがいがありますよね。
当校で学んだのちに日本で日本語の教師になった中国人の卒業生がいるのですが、彼と一緒に食事をしながらお互いの学校の話をした時は、この仕事をやっていてよかったと心から思いました。在籍中は手がかかっても、卒業後はそれなりに落ち着いて大人の話ができるのはすごくいいですね。困った時とか手伝ってほしいことがあれば協力してくれますし、頼もしいメンバーが周りにたくさんできたなと感じます。
――逆に、苦労するところはありますか。
現場の先生方が苦労されていると思うのは、自分たちにはどうにもできないことに出会ったときですね。例えば、進学をしたくてすごく頑張っているけど、経済的に厳しいとかですね。教師として日々、学生たちのいろんな悩みに寄り添い、一緒に解決方法を考えますが、我々では手助けができない部分もあるので。本当にいろんな境遇の学生がいます。
――今、応募を検討している方に一言お願いします。
我々の強みは充実した研修制度ですので、経験がなくても、自信を持って教壇に立てるようにサポートさせていただきたいと思っています。
また、当校のいいところはいいバランスの良い教員層にもあります。すなわち、本当にご自身の家庭なりライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が実現できます。子育てと両立している先生がいたり、教員としてのスキルアップを目指す若手がいたり、日本語教師の大ベテランの方もいます。日本語教師の傍ら、他にも本業をお持ちの方もいますし、定年退職されたシニアの方もいます。例えば、定年まで別の分野でお仕事されていたシニアの方は、これまでのいろんな仕事や経験が、学生たちにとっても魅力的に映ります。柔軟な働き方に加えて、今までの経験も強みにできる現場ですので、安心して来ていただきたいと思っています。