忙しい日本語教師の新しいパートナー「Google NotebookLM」のススメ

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忙しい日本語教師の新しいパートナー「Google NotebookLM」のススメ

| NotebookLMとは?身近に使えるAIノートブック

NotebookLM(ノートブックエルエム)はGoogleが開発したAI搭載のリサーチアシスタントです。2023年に「Project Tailwind」として発表され、2024年に正式版が公開されました。最新の大規模言語モデルGeminiを搭載し、日本語を含む多言語に対応しているため、言語の壁を感じず利用できます。

NotebookLM最大の特徴は、インターネット上の膨大なデータから答えを探す従来のAIと異なり、ユーザーが提供した特定の資料に基づいて動作する点です。まるで「資料に精通した助手」が手元のノートにいて質問に答えてくれる感覚で、アップロードしたドキュメントやウェブ記事、PDFなどを読み込み、要点を自動抽出してくれます。そのため情報整理や学習に最適で、必要な知識をピンポイントで得られるのです。

| ChatGPTとNotebookLMの違いはここ!

| ChatGPTとNotebookLMの違いはここ!
ChatGPTも優れたAIですが、NotebookLMとは設計思想が異なります。ここでは教師の実務で感じる主な違いを見てみましょう。

・回答の根拠と信頼性

ChatGPTは広範な訓練データから推測交じりに回答を生成するため、ときに事実と異なる内容(ハルシネーション)が含まれることがあります。NotebookLMは手持ちの資料のみを情報源とするため、資料にないことは答えず、誤った内容が出にくいのが特長です。回答には自動で出典が示され、根拠を確かめるのも簡単です。ChatGPTで要約を頼むと「どの情報を参照したか分からない」という不安が残りがちですが、NotebookLMなら回答に引用元が明示されるので安心して活用できます。

・資料のアップロードと管理

ChatGPTに教材の内容を質問する場合、毎回その都度テキストをコピペする必要があります。一方、NotebookLMでは自分のノートブックに複数の資料をまとめて登録でき、PDFやGoogleドキュメント、スライド、ウェブサイトのURL、音声ファイルまで幅広く対応します。例えば授業で使う教材PDFや指導要領の抜粋などをまるごとアップロードしておけば、必要なときにすぐ参照・検索できるのです。資料はノートごとに最大50件まで追加でき、別々の単元やクラスごとにノートブックを分けて管理するといった使い方も可能です。

・応答のスタイル

ChatGPTは自由な対話やブレインストーミングに向いており、漠然とした質問にもそれなりの答えを返してくれます。一方NotebookLMは資料に特化した回答が得意です。言い換えれば、「手元のこの文章について教えて」という具体的な問いに非常に強く、逆に資料に存在しない知識を問われると「回答できません」と返すこともあります。またNotebookLMは回答をノートにメモとして保存したり、後から見返せるよう整理する機能も備えており(ChatGPTにはない専用のメモ・保存機能)、必要な情報を蓄積していくことができます。

・プライバシーと安全性

学生のレポートや成績など機微な情報をAIに入力する際、データの扱いは気になるところです。ChatGPT(無印版)は入力した内容が学習に使われる可能性がありますが、GoogleによればNotebookLMではユーザーのアップロード資料や対話内容が他のモデル訓練に使われることはないとされています。もちろんクラウド上にデータが保存される点は留意が必要ですが、少なくともAI側で内容を勝手に外部利用しないという安心感は、教育現場で利用する上で大きなメリットでしょう。

NotebookLMでは、アップロードした教材に基づいて生成された回答には、出典を示す①②といった番号が付くため、根拠の確認が容易です。このように「誰が言ったか」ではなく「どの資料のどの部分にそう書いてあるか」が一目で分かるのは、教師にとって信頼性を判断するうえで非常に心強い機能です。ChatGPTでは自分で元の文献と照合する手間がありましたが、NotebookLMならワンクリックで該当箇所を表示できます。

| 授業準備にNotebookLMが効く!実用シーン紹介

| 授業準備にNotebookLMが効く!実用シーン紹介
では、実際に日本語教師の仕事でNotebookLMがどう役立つのか、ChatGPTには難しかった活用シーンとともに見てみましょう。

1. 教材をもとにした効率的な授業計画


授業準備では、NotebookLMは頼れるアシスタントになります。例えば新しい読解教材を使う場合、そのPDFや文章ファイルをNotebookLMにアップロードしておけば、主要なトピックの自動要約が得られます。要約内容を踏まえて「この内容に関する読解問題を作って」と質問すれば、読解クイズやディスカッション用の質問案も即座に生成してくれます。ChatGPTでも汎用的な問題を作ることはできますが、NotebookLMなら実際の教材内容に沿った具体的な問題を提案してくれるため、より的確で授業に即したプランニングが可能です。教師はそのまま質問を少し編集して使ったり、回答を確認して理解度チェックに活用したりできます。

2. 教材管理と情報収集の効率化


NotebookLMは複数の資料を横断して情報を整理・検索するのが得意です。例えば、学習指導要領や教育ガイドラインなどを読む時間がないときでも、関連PDFや公式サイトをNotebookLMに入れて「重要なポイントは?」「今回の改訂で何が変わった?」と質問すれば、ポイントを素早くキャッチアップできます。これはChatGPTには真似できない芸当です(ChatGPTはこれら文書の最新版を持っていないか、あっても長文すべてをアップするのが難しいため)。NotebookLMなら自分がアップした資料内から必要な情報だけを抽出するので、最新の教育動向や校務に関する資料整理もスピーディーです。また、教材プリントや過去の試験問題をノートブックにまとめておけば、「○○に関する問題はどの資料にあったかな?」という検索もチャットで聞けてしまいます。資料の山から目当ての情報を探す手間が省け、デジタル教材フォルダ+AI秘書のような感覚で使えるでしょう。

3. 学習記録の分析と個別サポート


日々蓄積される学習記録(例えば生徒ごとの課題の振り返りシートや授業中の観察メモなど)にもNotebookLMは活用できます。複数の記録文書をノートブックに入れておき、「●●さんのこの半年の成長をまとめて」と尋ねれば、その生徒の記録から頑張った点や課題を要約してくれるかもしれません。ChatGPTではこうした長期にわたる個人の記録を一度に扱うのは難しいですが、NotebookLMなら自分で読み込ませた範囲内であれば一貫して分析できます。さらに、NotebookLMが自動生成する**「学習ガイド」機能を使えば、記録や教材内容からクイズ形式の復習問題**を作成することも可能です。例えば単元ごとのキーワードをまとめた問題集や、自学用のチェックテストを自動で作り、生徒に配布するといった使い方も考えられます。これにより、各自の習熟度に合わせたきめ細やかなフォローが実現できるでしょう。

4. 教材の難易度調整と差別化


日本語クラスには習熟度の異なる学習者が混在することもあります。そんなときNotebookLMは教材の難易度調整にも役立ちます。アップロードした文章を「初級学習者向けに優しい日本語に言い換えて」と依頼すれば、内容を保持しつつ易しい表現に書き換えてくれます。また、「この文章の重要単語リストを作って」と質問すれば、自動で語彙リストを抽出することも可能です。これらはChatGPTでも指示次第でできますが、NotebookLMは元資料を踏まえた確実な変換を行ってくれる点で安心感があります。生成された語彙リストを基に補足説明資料を作ったり、易しい日本語版テキストを補助教材として用意したりすれば、異なるレベルの学習者それぞれに合った学びを提供できます。

| NotebookLMを試してみよう

専門的なツールに聞こえるかもしれませんが、NotebookLMの使い方はとても簡単です。Googleアカウントさえあれば、公式サイトにアクセスして「NotebookLMを試す」をクリックするだけで利用開始できます。現在は実験段階のサービスですが基本無料で使え、利用者のフィードバックをもとに日々アップデートされています。最初は自分がよく知っている教材やノートを読み込ませて、どんな要約や回答が得られるか試してみると良いでしょう。ChatGPTで感じていた「ちょっと不安だな…」という部分が、NotebookLMではどう解消されているか実感できるはずです。

最後に、AIツールはあくまで助手であり、使いこなすのは私たち人間です。NotebookLMを活用すれば、煩雑な準備作業にかかる時間を減らし、その分を授業の質向上や生徒対応に充てられるでしょう。ぜひ一度、忙しい毎日のパートナーとしてNotebookLMを活用してみてください。きっと「これは使える!」と感じてもらえるはずです。

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