告示校だけじゃない!日本語教師が活躍できる職場6選

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告示校だけじゃない!日本語教師が活躍できる職場6選

日本語教師の資格は持っているものの、いわゆる留学生を受け入れる日本語学校である「告示校」と呼ばれる日本語学校では働けない、または働きづらい…そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば昼間の勤務が難しかったり、告示校で求められる4大卒以上+420時間の養成講座修了などの資格要件を満たしていなかったりすると、告示校での勤務はハードルが高いですよね。

しかし告示校以外にも、日本語教師として活躍できる場はたくさんあります!今回は、告示校以外で日本語教師が活躍する代表的な6つのフィールドをご紹介します。それぞれの特徴や向いている人、採用情報が確認できる主な団体・機関についても触れていきます。

※なお、オンライン日本語教師については下記の記事で紹介済みのため、本記事では割愛します。

| 1. JICE(外国人就労・定着支援事業)



JICEは一般財団法人日本国際協力センターの略称で、厚生労働省から委託を受けて外国人の就労支援のための日本語研修を全国で展開しています。具体的には、定住者や永住者など日本で働きたい意欲のある外国人を対象に、日本の職場で必要となるコミュニケーション能力やビジネスマナー、日本の雇用慣行や労働法令の知識を教える「外国人就労・定着支援研修」を実施しています。

研修は各地で100時間程度行われ、昼間コース・夜間コースなど地域のニーズに合わせて開講されます。JICEの研修は現在、対面では26都府県で行われており、一部地域ではオンラインコースも提供されています。

どんな人に向いているか

JICEの研修で教える内容は、日本で就職を目指す大人の学習者が対象です。したがって、ビジネス日本語や就職支援に興味がある方、社会人経験を活かして日本の職場文化を教えたい方に向いています。研修は短期集中型(100時間)なので、比較的短期間で達成感を得たい方にも良いでしょう。

また全国各地で展開しているため、居住地に近い地域で募集があれば応募しやすいのもメリットです。

主な採用団体

この分野の代表はやはりJICEです。JICEでは日本語教師を「登録制講師」として募集しており、選考試験に合格して登録すると、研修案件ごとに個別に仕事の依頼を受ける形になります。JICEの公式サイトの「人材募集」ページで日本語講師の登録情報が確認できます。


研修は毎年実施されるため、JICEに登録しておくと適宜お仕事のチャンスがあります。また、JICE以外にも自治体や地域の団体が同様の就労支援日本語講座を開催している場合がありますので、地元の国際交流協会などの情報もチェックしてみてください。

| 2. 技能実習生の入国後講習(将来は「育成就労」へ?)

日本に来る外国人技能実習生は、受け入れ企業で働き始める前に約1ヶ月間の講習(入国後講習)を受けることが義務付けられています。

この講習では、日本語や日本での生活ルール、文化、職場の安全や法律に関する基礎知識などを学びます。講習は各監理団体(技能実習生の受け入れをサポートする組織)が運営する研修センターで行われ、日本語教師はそこで日本語の授業を担当します。

たとえば長野県の「ERIKA日本語学校」は技能実習生向けの入国後講習施設で、来日直後の実習生に約1ヶ月(176時間)の日本語講習を提供しています。日本語学習は84時間程度組み込まれ、420時間講座修了などの資格を持つ日本語講師が授業を担当しています。


どんな人に向いているか

技能実習生の講習で教える相手は、日本に来たばかりの初級レベルの学習者が中心です。したがって、日本語や生活習慣をゼロから丁寧に教えるのが好きな方、異文化に寛容で外国人の日本での生活をサポートしたいという熱意のある方に向いています。講習期間中は毎日集中して教えることになるため、短期集中型の勤務に抵抗がない方にも適しています。また実習生の母国語が多様なので、必要に応じてやさしい日本語やジェスチャーで伝える工夫ができる柔軟性もあると良いでしょう。

主な実施機関

技能実習生の入国後講習は各地の監理団体や協同組合が運営する研修センターで行われます。

具体的な採用情報は、各監理団体のホームページや求人サイトで「講習日本語講師募集」といった形で掲載されることがあります。地域によっては研修センターが寮を備えており、講習期間中はそこで合宿的に勤務するケースもあります。例えば先述のERIKA日本語学校(長野県)や、茨城県の国際介護研修センター(介護分野の実習生向け)などが講習施設の例として挙げられます。

なお、技能実習制度は近い将来「育成就労」という新しい制度に再編される動きもあります。2025年3月には政府が「外国人技能実習制度に代わる育成就労制度」を閣議決定しており、特定技能への円滑な移行などが検討されています。制度が変わっても、外国人労働者に対する日本語研修ニーズ自体は今後も続くと予想されますので、この分野での日本語教師の役割も引き続き重要になりそうです。

| 3. 公立小中学校での日本語指導アシスタント

近年、日本の小学校・中学校には外国にルーツを持つ児童生徒が増加しており、日本語指導が必要な子どもたちへのサポート体制が各地で整えられつつあります。

こうした子どもたちを支援するために、多くの自治体の教育委員会では日本語指導員(日本語指導助手)を募集しています。仕事内容は、公立の小学校や中学校に在籍する日本語が十分ではない児童生徒に対し、日本語の特別指導を行ったり、教科学習の補助をしたりすることです。たとえば東京都では令和7年度(2025年度)に非常勤の日本語指導教員を8名募集しています。



職員室に所属し、担任教師や日本語指導担当の教員と連携しながら、児童生徒一人ひとりの日本語指導計画を作成・実施する役割です。場合によってはオンラインで近隣校の生徒に遠隔指導を行うこともあり、ICTを活用した支援も取り入れられています。

どんな人に向いているか

学校現場での日本語指導は、子どもが好きで教育への情熱がある方に向いています。日本語だけでなく算数や生活科など教科の学習をサポートする場面も多いので、子どもの日本語習得と学校適応を包括的に支援したい方にピッタリです。また学校行事や学年会議に参加することもあるため、チームの一員として協働できるコミュニケーション力も求められます。勤務形態は自治体によりますが、多くは会計年度任用職員という年度ごとの契約制非常勤で、週に数日~フルタイムまで様々です。平日の日中に働ける方、長期休暇中は休みになる代わりに契約期間が限定されても問題ない方に適しています。

主な採用団体

各都道府県・市区町村の教育委員会が採用主体です。求人の名称は自治体によって「日本語指導非常勤講師」「日本語支援員」「日本語適応指導教員」など様々です。自治体の公式サイトや教育委員会の採用情報ページに募集案内が掲載されるので、興味のある地域の情報を定期的にチェックしましょう。例えば東京都教育委員会では「日本語指導非常勤教員(会計年度任用職員)」の募集要項を公開しており、職務内容や応募資格(日本語教師養成講座修了者や検定合格者が望ましいなど)が記載されています。他にも、外国人児童生徒が多い地域(愛知県や静岡県、群馬県など)では、日本語指導員の求人が活発に行われています。地元のハローワークや自治体の広報にも情報が出ることがありますので要チェックです。

| 4. 地域の国際交流協会(生活者向け日本語支援)

各地域にある国際交流協会や多文化共生センターも、日本語教師の活躍の場として見逃せません。これらの団体では、地域に暮らす外国人住民(いわゆる生活者としての外国人)のための日本語学習支援や生活サポートを行っています。典型的なのは、ボランティアによる日本語教室の開催ですが、地域によっては専門の日本語教育コーディネーター日本語講師を非常勤で雇用している場合もあります。

例えば東京都港区の国際交流協会では、2024年に「地域日本語教育コーディネーター」(日本語講師)の募集が行われており、日本語教師の資格(大学主専攻・420時間修了・日本語教育能力検定のいずれか)と1年以上の日本語指導経験が応募要件とされていました。


業務内容は、港区での日本語学習支援体制づくりや教室運営のコーディネートが中心で、受講者対応のため簡単な英語力も望まれるなど、まさに地域の日本語教育のハブとなる役割です。待遇は非常勤の業務委嘱で月額20万円台後半+交通費という例でした。

どんな人に向いているか

地域日本語教室での活動は、ボランティア精神があり人との触れ合いが好きな方に向いています。生活者対象の日本語教育では、学習者の年齢も国籍も日本語レベルも実に様々です。子育て中の方や働きながら日本語を学ぶ方、高齢の定住者など多彩な学習者と接するため、柔軟に対応できる懐の深さが求められます。また、日本語教室の運営者側として働く場合は、ボランティア講師さんたちを支える立場になることも多いです。ですから調整力やリーダーシップも発揮しつつ、地域の外国人住民が安心して学べる場を作っていきたいという熱意があると良いでしょう。平日夜間や週末に活動する教室も多いため、自分のライフスタイルに合わせて参加しやすいのも魅力です。

主な実施団体

各市区町村の国際交流協会多文化共生推進課などが窓口になります。例えば、先述の港区国際交流協会のように直接求人を出すケースもありますし、自治体が委託してNPO等が運営している日本語教室もあります。その場合、委託先のNPOの求人情報として出ていることもあります。地域名+「日本語教室」「日本語講師募集」などのキーワードで検索するとヒットすることが多いです。加えて、日本語教育学会や日本村などの求人情報サイトにも、地域日本語教育関連の募集が掲載されることがあります。興味のある地域の協会に直接問い合わせてみるのも良いでしょう。生活者向けの日本語教育は国や自治体も力を入れている分野ですので、今後ますます求人が増える可能性があります。

| 5. 日本語学校(ビジネスマン・生活者向けコース)

いわゆる留学生向けの日本語学校(告示校)ではなく、ビジネスマンや生活者を対象にした日本語コースを提供している教育機関も多数存在します。大都市を中心に、働いている外国人向けの夜間コースや、駐在員・その家族向けのプライベートレッスンを行う日本語学校が見られます。

また企業研修とは別に、個人で受講料を払って通う一般向け日本語教室もあります。例えば東京のカイ日本語スクールでは、留学生以外にビジネス日本語プログラムを提供しており、日本で就職を希望する人や日系企業で働きたい人を対象に、ビジネス日本語やマナー・スキルを総合的に学べるコースを開設しています。このコースでは、就職に必要なコミュニケーション能力をビジネスレベルまで伸ばすことを目標に掲げており、履歴書の書き方や面接練習など就職サポートも充実しています。



同様に、東京中央日本語学院、ヒューマンアカデミー日本語学校、ISIランゲージスクールなど多くの日本語学校でビジネス会話クラス生活者向けクラスが設置されています。

どんな人に向いているか

こうしたコースで教えるのは、社会人の学習者が中心です。平日夜間や土日に開講されることが多いため、非常勤講師として働きたい方フレキシブルな勤務時間を希望する方に向いています。ビジネスマン相手のクラスでは敬語やビジネスマナーに通じていることが求められるので、ビジネス経験がある日本語教師にはやりがいが大きいでしょう。一方、生活者向けクラスでは日常会話や子育てに必要な表現など身近なテーマが多く、生活に密着した内容を教えるのが得意な方に適しています。また少人数レッスンやプライベートレッスンも多いため、一人ひとりのニーズに合わせた指導ができる臨機応変さやカスタマイズ力があると喜ばれるでしょう。

代表的な機関

首都圏や都市部には、一般向けコースを持つ日本語学校が多数あります。Coto Japanese Academy(東京)ジャパンタイムズ・アカデミーベルリッツ新宿日本語学校など、企業の研修も含め幅広い層に教えているスクールが知られています。求人情報は各校のウェブサイトに掲載されるほか、日本語教師求人サイトでも見つけられます。非常勤講師募集が中心ですが、中には常勤講師としてビジネス日本語コースの運営に携わるポストを設けている学校もあります。先述のカイ日本語スクールでは企業研修を含め講師派遣も行っており、「必要に応じて講師を企業オフィスに派遣することも可能」と紹介されています。

このように学校自体が法人研修部門を持っているケースも多いので、自分が興味ある分野(ビジネス・日常会話・試験対策など)に強みを持つ学校を選んで応募すると良いでしょう。

| 6. 企業内研修・社内日本語講師(ビジネス日本語指導)

外国人社員を多数雇用している企業では、社内で日本語研修を実施する動きも広がっています。企業内日本語講師として直接会社に雇用されたり、語学研修サービス会社から企業に派遣されて社員に日本語を教えたりする働き方です。

例えば、大手IT企業のメルカリではインドなど海外から多数のエンジニアを採用しており、社内で「メルクラス」という日本語レッスンを開講して、業務だけでなく日常生活にも必要な日本語を教えているそうです。



このように社内の語学研修スタッフとして働く場合、社員としての安定収入を得ながら日本語教師のスキルを活かせる点が魅力です。一方、企業向け語学研修の専門会社(例:ECC法人向け語学研修やリンゲージ、AJALTなど)に登録し、様々な企業に出向いて教えるスタイルもあります。研修内容はビジネス会議での日本語、メールの書き方、敬語トレーニングなど多岐にわたり、企業ごとにカリキュラムをカスタマイズして提供されます。

どんな人に向いているか

ビジネスの現場で即使える日本語を教えるため、高度な日本語運用能力とビジネスマナーの知識が求められます。元会社員の方や、他業種での社会人経験をお持ちの日本語教師には特に適した分野でしょう。企業文化や専門用語にも触れる機会が多いので、新しい業界について学ぶ意欲がある人にも向いています。また社内講師の場合は、受講者である社員とのコミュニケーションを円滑にし、人事担当者とも連携して研修を進める必要があるため、調整力やコミュニケーション能力が高い方が活躍できます。勤務形態は企業によって様々ですが、フルタイムの社内公用語研修担当からスポット的な研修講師まで幅があります。フリーランス的に複数企業の研修を受け持つ働き方もできるので、自分のペースで働きたい方にもチャンスがあります。

主な求人ルート

一つは直接企業が採用するケースです。例えば「社内日本語講師募集」「社内日本語トレーナー」などのタイトルで求人が出ることがあります。この場合、企業の正社員または契約社員として雇われることになり、求人情報は一般の転職サイトや企業の採用ページに掲載されることが多いです。もう一つは、語学研修会社経由の講師登録です。

ECCやAEONなど大手語学スクールの法人研修部門、またはAJALT(アジャルト)のように企業研修専門の団体に講師登録すると、企業からの依頼に応じて派遣される形になります。カイ日本語スクールなど一部の日本語学校も法人向け研修サービスを提供しており、講師派遣に力を入れています。求人情報はこれら研修会社のサイトや日本語教育関連の求人掲示板で見つかります。いずれにせよ、ビジネス日本語教育は今後さらに需要が高まる分野ですので、ビジネスパーソンの日本語支援に興味がある方はぜひ挑戦してみてください。

| おわりに

いかがでしたでしょうか。告示校での勤務に限らず、日本語教師として活躍できる場は多種多様に存在しています。今回ご紹介したJICEの就労支援研修、技能実習生の講習、小中学校での支援、地域の日本語教室、一般向け日本語コース、企業内研修の6分野はそれぞれにやりがいがあり、求められるスキルや働き方も様々です。

ご自身のライフスタイルや得意分野に合わせて、ぜひ新たなフィールドに目を向けてみてください。日本語教師の資格を活かせる場はきっと見つかります。あなたの日本語教育スキルが、さまざまな現場で必要とされていますよ。困っている学習者の力になれる日を楽しみに、ぜひ一歩踏み出してみましょう!

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