令和4年度版日本語教師養成講座の実態

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令和4年度版日本語教師養成講座の実態

大学等日本語教師養成課程及び文化庁届出受理日本語教師養成研修実施機関の実態調査の結果をまとめたものが文化庁より調査報告書として発表されました。

令和4年度大学等日本語教師養成課程及び文化庁届出受理日本語教師養成研修実施機関実態調査研究
報告書


調査の目的は、現行の日本語教師養成の状況を把握することで、新たな日本語教育制度創設に向けての審議に資する資料を得ることです。調査対象は、日本語教師養成課程を有する大学等と文化庁届出受理日本語教師養成研修実施機関で、回収率は66.6%でした。

調査内容は、養成課程の基本情報、教育実習の状況、使用教材、情報公開、受講者数と受講料などです。結果からは、養成課程の多様性や課題が見えてきます。

この調査結果は、新たな日本語教育制度創設に向けた議論に資する資料となることが期待されています。日本語教育の質の向上のためには、現状を把握し課題を共有することが重要です。

この中から日本語教育機関にとって有用な情報をピックアップします。

令和4年11月1日現在の学生数

令和4年11月1日現在の学生数
2022年11月時点の数字のため、まだコロナの影響はあるかもしれません。

一般の日本語教師養成講座(届出受理機関)の中の7.1%(84校中6校)に201人以上の在籍生がいます。すべてヒューマンアカデミーではないかと思われます。

また日本語教師養成講座の50%(84校中42校)で在籍生が20人以下、7.1%{84校中6校)で募集停止中と約6割の日本語教師養成講座は集客に苦戦しているようです。

また大学でも日本語教師養成課程(主専攻、副専攻)に200人以上在籍しているところが8.7%(252校中21校)います。

日本語教師養成講座の受講者の年齢

日本語教師養成講座の受講者の年齢
一般の日本語教師養成講座(届出受理機関)では、最も多いのは50代ですが、比較的20代〜60代までが偏りなく在籍しています。

大学では当然、20代が大半を占めています。

日本語教師養成講座修了後の進路

日本語教師養成講座修了後の進路

全体


日本語教師養成課程を設置している大学と一般の日本語教師養成講座の修了生で日本語教師になっている人は18.3%(3893人中712人)です。

また日本語教師になった人712人の中で、国内の日本語学校で日本語教師になった人は61.9%(440人)です。

大学


日本語教師養成課程を設置している大学の修了生で、日本語教師になっている人は4.5%(2478人中109人)です。

また日本語教師になった人の中で、国内の日本語学校で日本語教師になった人は42人です。

大学で日本語教育関係を専攻した学生が日本語教師になるのは非常にレアと言わざるをえません。

日本語教師養成講座(届出受理機関)


一般の日本語教師養成講座の修了生で、日本語教師になっている人は42%(1415人中601人)です。

また日本語教師になった人の中で、国内の日本語学校で日本語教師になった人は397人です。

おわりに

この調査結果は、日本語教育界における多くの課題を明らかにしていますが、それだけでなく、新たな可能性も示唆しています。例えば、年齢層が広がっていることは、日本語教育が多様なニーズに対応できる余地があるとも言えます。また、修了生が日本語教師になる割合が低いというデータは、教育プログラム自体の改善やキャリアサポートの強化が求められるという視点も提供しています。このような情報は、今後の日本語教育制度改革において、非常に重要な参考資料となるでしょう。