日本語教育の参照枠・Can-do を使ったカリキュラム再設計―認定日本語教育機関を目指す日本語学校のために―

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日本語教育の参照枠・Can-do を使ったカリキュラム再設計―認定日本語教育機関を目指す日本語学校のために―

2024年度から始まった「認定日本語教育機関」制度。法務省告示校として留学生を受け入れる日本語教育機関にとって、この制度は避けて通れないテーマとなりました。

なかでも、カリキュラムや評価の再設計は教務主任や専任講師にとって大きな関心事です。この記事では、CEFRやCan-doといった新しい枠組みにあまり慣れていない方向けに、基本的な考え方と、現場での設計の進め方を紹介します。

|認定校に求められるものとは?

認定日本語教育機関の申請には、「参照枠に基づいたカリキュラムの設計」と「Can-doを活用した評価の仕組み」が求められます。その理由は、留学生がB2レベル(大学進学相当)の日本語力に到達できることを示す必要があるからです。

この「参照枠」とは、ヨーロッパの言語教育で使われてきたCEFR(セファール)を元に日本語用に作られたガイドラインで、学習者が「何ができるか(Can-do)」で言語力を記述する考え方です。

|参照枠って何?Can-doって?

|参照枠って何?Can-doって?
「参照枠」は、A1~C2という6段階で日本語力を示します。この「~ができる」という文が、いわゆるCan-do記述です。

試験の点数や語彙数だけではなく、実際の行動として何ができるかを中心に考えるのが大きな特徴です。

|カリキュラムはどう設計すればよい?ーコースフレームワークとは

|カリキュラムはどう設計すればよい?ーコースフレームワークとは
コースフレームワークとは、最長2年のコース全体を通し各学期に到達するレベルを定めた枠組みです。2年でB2に届くよう逆算して計画を立てることが重要です。

|カリキュラムはどう設計すればよい?ーモジュールボックスとは

|カリキュラムはどう設計すればよい?ーモジュールボックスとは
モジュールボックスは、参照枠にもとづき学習内容をテーマ別に整理したカリキュラム設計ツールです。

留学生に必要な場面ごと(例:「授業に参加できる」「情報収集ができる」など)にモジュールが設定され、それぞれA1~B2/C1レベルのCan-do目標と教材例が用意されています。エクセルツールを活用し、必要なモジュールを組み合わせれば漏れの少ないシラバスを作成できます。

〈モジュールボックス(Version 1.1)2025.03.31〉

|評価はどう設計すればよい?

評価でも中心になるのは「Can-do」です。例えば「講義の内容を理解し、メモを取ることができる」というCan-doがあった場合、実際にその活動をしてもらい、その達成度を見ます。

また、行動そのものだけでなく、「うまく聞き返す」「わからない語を言い換えてもらう」など、方略(ストラテジー)の観点も加えることで、より実践的な力を評価できます。

|再設計の確認チェックリスト

|再設計の確認チェックリスト
上記のような項目を、現行カリキュラムと照らし合わせてみるところから始めてみてもよいかもしれません。

|おわりに

参照枠やCan-doは最初こそ馴染みにくいかもしれませんが、「実際にできるようになったか」を真ん中に置いた設計は、学習者にも教師にも手応えのある学びをもたらしてくれます。まずはできるところから、少しずつ見直していくことが、認定申請への第一歩となるはずです。