【法律コラム】日本語学校も注意!「休憩時間」は適切に確保できていますか?

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【法律コラム】日本語学校も注意!「休憩時間」は適切に確保できていますか?

近年、労働時間管理に関する問題が注目される中、労働基準法における「休憩時間の取り扱い」が重要なテーマとなっています。

今年、格安航空会社ジェットスタージャパンの客室乗務員に対し、労働基準法第34条で定められた休憩時間を適切に与えていなかったとして、同社に賠償金の支払いを命じる判決が下されたことが話題となりました。



教育機関、特に多様な働き方が混在する日本語学校でも、同様の問題が起こり得ます。本記事では、休憩時間に関する基本ルールと、学校現場で起こりやすい注意点についてわかりやすく解説します。

|労働基準法における休憩時間の基本ルール(第34条)

労働基準法では、次のように定められています。

勤務時間        最低休憩時間

6時間超 8時間以内    45分以上
8時間超            1時間以上

・休憩は原則として労働時間の途中に与える必要があります。
・休憩中は業務から完全に解放された状態であることが必要です。
・自由に過ごせる時間でなければ、休憩と認められません。

|日本語学校で起こりがちな休憩トラブル

日本語学校では、授業のコマごとに非常勤講師を配置したり、行事や担任業務により勤務時間が変動するなど、柔軟な勤務形態が多く見られます。そのため、以下のような状況で知らず知らずのうちに法令違反となってしまう可能性があります。

① 複数コマ連続で入っている講師への休憩未付与

非常勤講師が1日あたりの勤務拘束時間が6時間を超えるスケジュール(例:午前午後授業+授業準備・会議対応など)となる場合には、45分以上の休憩時間を途中に設ける必要があります。

授業と授業の間に5〜10分のインターバルがあっても、労働から完全に解放されていなければ「休憩」とは見なされませんので、形式的な空き時間では不十分です。

② 休憩時間中の拘束・業務指示

「お昼休みだけど、この資料を確認しておいてください」「昼食後すぐに会議です」など、実質的に自由な時間を確保できていないケースも注意が必要です。

③ 担任教員の昼休み中の学生対応

学生との面談や書類作成など、勤務時間と休憩時間があいまいになってしまうことが多い業務についても、明確な区分が求められます。

|違反時のリスク

休憩時間の付与義務に違反した場合、使用者は以下の罰則を受ける可能性があります。

・6ヶ月以下の懲役
・30万円以下の罰金

また、労働者から慰謝料請求(精神的損害賠償)を受ける可能性もあり、組織としての信頼性にも影響しかねません。

|対応のポイント

・講師シフト作成時に、6時間以上勤務する人には必ず休憩時間を確保
・休憩時間中の業務連絡・対応を避けるルールづくり
・就業規則や講師契約書における休憩時間の明記と再確認
・特例(管理監督者、高プロ制度など)に該当するかの確認

|最後に|休憩時間は「権利」です

休憩時間は、労働者が心身をリフレッシュし、良質な教育を提供するために不可欠な時間です。管理者側にとっても、トラブル予防・職場満足度の向上・法令遵守の観点から、適切な管理が求められます。